2025年6月23日より正式に開始された「入国前結核スクリーニング制度(JPETS)」について、実務面での注意点や対応方法をご案内いたします。
1.制度の背景と目的
近年、日本国内における結核(TB)罹患者の中で外国出生者の割合が増加しており、2023年には新登録患者10,096名のうち約16%が外国出生者でした。
こうした状況を受け、日本政府は結核の多い国・地域からの中長期在留者に対して、入国前の検査と証明書提出を義務付ける制度(JPETS)を導入しました。
2.対象となる国籍・在留資格
この制度の対象となるのは、以下の条件を満たす外国人です。
・国籍:フィリピン、ネパール、ベトナム(2025年8月現在。中国、ミャンマー、インドネシアは今後追加予定)
・申請内容:在留資格認定証明書(COE)の申請を予定している中長期在留希望者(留学、技術・人文知識・国際業務、家族滞在など)
・対象外:短期滞在(90日以内)、外交・公用ビザ対象者、再入国者
※EPA、特定技能、JICAなど、既に健康診断が制度化されているプログラムは当面除外されます。
3.導入スケジュール(2025年現在)
・フィリピン/ネパール国籍者:2025年3月24日から検査予約受付、6月23日から証明書提出が義務化
・ベトナム国籍者:5月26日から予約受付、9月1日以降に証明書の提出が必要
・他国籍(中国、ミャンマー、インドネシアなど):今後の公式発表を待つ必要があります
4.検査の流れと証明書の扱い
・検査場所:厚生労働省が指定する海外のパネルクリニック
・検査内容:胸部X線検査(必要に応じて追加検査)
・証明書の有効期限:発行日から180日以内
・費用負担:原則として申請者本人が負担
・注意点:有効な証明書が提出されない場合、在留資格申請が受理されず、入国が遅延・中断する恐れがあります
5.企業が準備すべきポイント
外国籍従業員の採用にあたり、次のような準備・対応が必要となります。
・対象国籍・在留資格かどうかを面接段階で確認する
・候補者に対して、結核検査と証明書の必要性を早期に案内する
・在留資格申請日から逆算し、有効期限内での検査と証明書発行を支援する
・書類不備を避けるため、社内でも管理体制を整備しておく
6.当事務所のサポート内容
当事務所では、外国人採用を進める企業の皆様に対して、以下の無料サポートを提供しています。
・在留資格認定証明書(COE)申請に連動した結核検査対応のアドバイス
・必要書類の確認と提出漏れ防止
・検査と申請タイミングを踏まえたスケジュール調整支援
・候補者からの個別相談対応(日本語または英語)
7.まとめ
この制度は、採用企業にとっても事前準備や情報提供が重要となる新しい対応事項です。
今後対象国が増える可能性もありますので、最新情報の収集と社内体制の整備が求められます。
当事務所は、外国人採用の実務に強みを持ち、各企業様の状況に応じた柔軟なサポートを行っております。
ご相談は無料ですので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
参照:厚生労働省ホームページ「入国前結核スクリーニングの実施について Japan Pre-Entry Tuberculosis Screening(JPETS)」
ENGLISH PAGE: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou03/english.html