2025年8月16日、出入国在留管理庁(入管庁)は、「技術・人文知識・国際業務(技人国)」ビザで働いている外国人が派遣労働のかたちで「単純作業」に従事している事例が相次いでいるとして、実態の調査に乗り出すことを発表しました。
派遣先での資格外活動や賃金未払いなども確認されており、雇用管理の仕組みが不十分であるとの指摘が背景にあり、この機会に是正を図るとしています。
調査結果をふまえ、入管庁は近く有識者会議を開催し、具体策を検討する予定です。また、起業向け在留資格である「経営・管理」の要件の厳格化についても、併せて検討が進んでいます。
技人国ビザとは?
技人国ビザは、大学などで得た専門的な知識や技能を活かして、日本でエンジニアやデスクワーク(例:翻訳・通訳、営業、マーケティング、経理、事務など)をするための在留資格です。2024年末時点では、このビザを持つ外国人は約41万人にのぼり、前年より5万6千人増加して過去最多となりました。
そのうち、約1割、約4万人が派遣会社を通じて働いていると見られています。本来は専門的な業務に従事すべきところ、派遣を理由に単純作業だけを任されるケースもある点が問題視されています。
外国人を雇用する企業の皆様へ──ここが重要です
就労内容の確認がカギ
技人国ビザのもとでは、専門的な仕事(エンジニア、翻訳、通訳、営業、マーケティング、経理、事務など)が認められています。これに反し、工場内作業などの単純労働のみをさせることは、在留資格外の活動に該当し、入管法違反となる可能性があります。
雇用管理に甘さは禁物
派遣を経由した雇用でも、企業が在留資格や業務内容の確認を怠ると、「不法就労助長罪」に問われるリスクがあります。
たとえ違法と知らずに雇用していたとしても、過失があるだけで処罰対象となる点に十分注意してください。
不法就労助長罪の主な内容
- 処罰内容:3年以下の懲役または300万円以下の罰金、あるいはその両方。
- 2025年6月以降、罰則が強化され、最大で5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金に引き上げられています。
企業の信用低下や、許認可の欠格事由にもつながるため、在留カードや身分証の厳密な確認、許可された活動かどうかのチェックを徹底してください。
対策と対応ポイント
項目 | 対応・確認内容 |
在留資格の確認 | 在留カード(原本)でビザの種類、有効期限、活動制限などを確認する |
業務内容の確認 | 仕事内容が「専門業務」に該当するかどうかを確認 |
派遣元との契約内容確認 | 派遣先での業務内容、契約期間、報酬などを把握し、ずれがないかチェック |
異変時の対応 | 従業員が「専門的な業務以外の仕事」や「未払い賃金」に合っている場合などは、即時に就労内容を見直す |
弊社のご支援内容
当事務所では、在留資格及び外国人労務管理に関する以下の無料相談を承っております:
- 在留資格の取得・変更
- ご家族の呼び寄せ
- 永住申請
- 帰化申請
- 外国人雇用
- 外国人労務管理
お気軽にご相談ください。
※なお、求人者の紹介は行っておりませんので、あらかじめご了承ください。
最後に
外国人を雇用する企業にとって、法令遵守と適切な管理体制の整備は、リスクの回避にも、企業の信頼維持にも不可欠です。
ご不安がある場合は、ぜひ当事務所までお気軽にご相談ください。
参照:KYODO共同通信 2025年8月16日
https://news.jp/i/1329420019241566705?c=302675738515047521?c=302675738515047521