2025年10月中旬を目処に、在留資格「経営・管理」に関する審査基準が抜本的に見直される方針が示されております。
すでに法務省・出入国在留管理庁においては、改正案の準備が進められており、
9月頃にはパブリックコメントの募集、
10月上旬には正式決定
が予定されています。
本制度改正は、外国人による名義貸しやペーパーカンパニー化の抑止を目的とし、真に「経営者としての実績と能力を有する者」の受入れに絞り込む意図があるとされます。
◆ 現行制度の要点(2025年9月まで)
現在、「経営・管理」の在留資格を新規取得するためには、以下のいずれかの基準を満たすことが求められています。
日本国内に事業所(オフィス)を設置していること
事業に充てる資本金が500万円以上であること
または、2名以上の常勤職員を雇用していること
この条件を充足すれば、外国人が新たに会社を設立・運営することが可能とされ、年間数千件に及ぶ認定が行われてきました。
◆ 改正案の概要(2025年10月中旬施行予定)
以下のすべての要件を満たすことが、今後の新規申請における前提条件となる見通しです。
① 資本金要件の引き上げ:3,000万円以上
従来比で6倍となる大幅な引き上げが予定されています。資本力が一定水準以上の事業体であることが求められ、資本調達のハードルが著しく上昇することになります。
② 経営能力に関する実績
以下のいずれかの証明が必要とされます。
経営経験3年以上
経営・管理に関する修士号(大学院課程の修了)を有すること
経営に関する実務的または学術的な素養が重視され、単なる出資者や名義人の申請は原則として認められなくなります。
③ 雇用要件:常勤職員1名以上の雇用
最低1名のフルタイム雇用者(日本人または永住者等)の確保が義務付けられます。単独経営によるビザ取得は困難となります。
④ 専門家による事業計画の確認
中小企業診断士などの外部専門家による事業計画の検証と所見の提出が必要とされる見込みです。
不透明なビジネスモデルや実現可能性の低い計画に対しては、申請そのものが却下される可能性があります。
◆ 既存の「経営・管理」ビザ保持者への影響
2025年時点で「経営・管理」ビザを有する外国人は約4万人とされています。入国管理当局によると、「すぐに既存の在留者に対して新基準を適用することは困難であり、配慮を要する」との見解が示されています。
しかしながら、在留資格の更新審査において新基準がどの程度考慮されるかは現時点で未定です。一定の経過措置や、個別事情を考慮した柔軟な運用がなされる可能性はあるものの、制度の方向性としては厳格化に舵が切られていることは間違いありません。
◆ スケジュールの見通し(2025年8月現在)
9月初旬: パブリックコメントの公募(予定)
10月上旬: 正式決定(政令または省令レベル)
10月中旬: 改正要件の施行開始(新規申請に適用)
以上、制度変更に関する現時点での確定情報をまとめました。
続報が正式に公表され次第、順次アップデートしてまいります。
参照ニュース:JIJI.com