外国人雇用状況の現状について
厚生労働省による外国人雇用状況の届け出によると、日本で働く外国人の就労者数は、令和4年10月末現在で約182万人と過去最高を更新しました。
5年前の平成29年10月末の1,278,670人と比べると、約140%増加となっています。
コロナ禍の水際対策により出入国が厳しく規制された令和2年から伸び率は鈍化していましたが、既に昨年令和3年末に規制が緩和されており、今後はさらに伸びていくことが予想されます。
しかし、円安や物価高騰などのマイナス要素もあり、外国人雇用は厳しい現状にあるとも言えます。
国籍別、在留資格別にみる
日本で働く外国人労働者を国籍別にみると、ベトナムが最多の462,384人で外国人労働者全体の25,4%を占めます。中国の385,848人(同21.2%)、フィリピンの206,050人(同11.3%)と続き、上位3か国で57,9%と全体の半数以上を占めています。
近年は特にベトナム人労働者の増加が顕著で、コロナ禍前までは前年比30%前後の伸び率で推移していました。
直近の統計では、インドネシア77,889人、ミャンマー47,498人、ネパール118,196人も人数としては上記3か国にはまだまだ満たないものの、対前年比で47.5%~20.3%増加など大幅な増加を見せています。
インドネシア、ミャンマーでは在留資格別にみると「技能実習」が最多の割合を占めます。
ネパールは「資格外活動」が最多で、留学生が多いことが伺えます。
コロナ禍前はベトナム人労働者のうち「技能実習生」が圧倒的に多い割合でしたが、規制緩和後の最新統計では技能実習生が減少傾向になり、いわゆるホワイトカラーの就労系資格「技術・人文知識・国際業務」や、留学生の「資格外活動」などの割合の増加がみられます。
在留資格「特定技能」について
近年新しく創設されたブルーカラー系就労資格「特定技能」も、対前年比10~44%の間で増加しています。
現在の岸田政権にて、この「特定技能」制度の改善が積極的に行われています。現状の最大の弱点である「最大5年間勤務」は「無期限の就労が可能」に変更になり、「家族帯同不可」から「条件により家族帯同が可能」になることも既に発表されています。(実施日については未定)
実質あまり進んでいない在留資格「特定技能」の定着が進むか、今後の様子をみていきたいです。
技能実習と特定技能の違いについて
混合されがちな両社ですが、意義からして全く異なるものです。
「技能実習」は、
日本の技術を母国に持ち帰り、技術の発展を目指す国際協力を目的に創設されています。しかし実際は、日本の労働力不足解消の一つの手段になっており、低賃金であることなど、特殊な制度があることなど、国際的に問題視されつつあり、改善の声が上が
っています。
基本的に、採用の際には政府の許可を得た監理団体という組織を介す必要があり、通常の日本人の採用とは全く異なる手続きが多数必要になるため、雇用企業側も外国人労働者側にも、注意が必要となります。
「特定技能」は、
日本国内の労働者不足解消のために新しく創設された在留資格です。
外国人労働者が各分野ごとの技能試験と、日本語試験の両方に合格することが必須となっています。2023年3月現在で12分野に分かれています。
企業側としては、ある程度の即戦力として迎えることができる点がメリットとなります。また、技能実習のように監理団体を介することは必須ではなく、自社支援として自社内で完結したり、必要な手続きのみ外部委託することもでき、採用手続きや労務管理も技能実習よりは簡素化されています。
しかし給与や待遇は、日本人と同等かそれ以上が必要になります。
外国人雇用は、在留資格ごとに就労できる仕事に制限があります。
また、雇用の際には、入国管理庁への在留資格の取得や変更申請のほか、ハローワークへの届け出等も必須になります。届出内容や手続きも、在留資格ごとに異なる内容があります。
詳しくは別項にてお話します。