外国人が日本で滞在するには、「在留資格」が必要です。
在留資格は、約30種類あります。
大きく分類すると、
「身分や地位に基づく在留資格」と「活動に基づく在留資格」
に2分されます。
(1)身分・地位に基づく在留資格
具体的には、「日本人の配偶者等」「永住者」「永住者の配偶者等」「定住者」等が該当します。
これらの身分系在留資格を持つ外国人は、就労内容や就労時間に制限がなく、日本人と同様に働くことが出来ます。そのため、雇用側としては、最も受け入れやすい在留資格といえるでしょう。
「日本人の配偶者等」
日本人の配偶者と実子、特別養子、6歳未満の養子が取得可能な在留資格です。
「永住者の配偶者等」
永住者の配偶者と実子、6歳未満の養子が対象となります。
これらの在留資格で注意すべきことは、
もし日本人の(永住者の)配偶者と離婚や死別した場合、その身分が失われるので、在留資格も失効してしまうことです。
そうすると、既に雇用している外国人でも、今までと同じように働くことが出来なくなります。あくまでも、配偶者に紐づけられている在留資格のためです。
雇用企業側としては、「知らない間に不法就労をさせていた」という事態に陥らないためにも、離婚等を事後報告ではなく、事前に申出をしてもらうよう、雇い入れの際にしっかりと伝えておく必要があります。
離婚してから14日以内に本人は入管に「配偶者に関する届け出」を出す必要がありますが、このことを把握していない外国人も散見されます。
(2)活動に基づく在留資格
こちらは、「技術・人文知識・国際業務」、「技能」、「特定技能」、「技能実習」等の就労資格が該当します。「留学」もこちらに分類されます。本人が何らかの目的をもって日本に滞在している在留資格です。
「技術・人文知識・国際業務」
「技術・人文知識・国際業務」は、現在最も一般的に使われている就労の在留資格です。語学力や技術力、国際性、専門性を活かした職業につくことが目的として使われる在留資格です。職務内容は限定されます。この在留資格で採用される外国人のほとんどは、大卒もしくは専門学校卒業の留学生か、既にこの在留資格を持つ転職者になります。
そのため、採用のための募集方法はハローワークや転職サイト等、通常の求人と同様となります。
しかし、外国人、企業、双方に要件が設定されていて、共に満たさなくては在留資格の許可がおりません。
外国人側に求められる要件は、
大学卒業(母国でも日本でもよい)もしくは日本の専門学校卒業の学歴が必要な「学歴要件」、10年または3年以上の職歴の「実務要件」いずれかになります。
また、就職先での実際の業務内容が、本人の大学又は専門学校での専攻内容と一致していなければいけません。
10年以上の実務要件を満たす場合も、その職歴と実際の業務内容が一致することが必要です。
また10年間の母国での職歴の証明書も必要になります。
企業側に求められる要件は、主に4点あります。
①事業の安定性
大幅な赤字や、債務超過がないか
②事業の継続性
長期雇用なのか、季節労働、短期的なプロジェクトのための採用ではないか
③事業の収益性
安定的な収益を得られているか、経営状況
④雇用の必要性
外国人の能力を必要とする業務、規模がある業務内容なのか
以上の4点をすべて満たす必要があります。特に④が大きなポイントとなります。
まずは実際の業務内容が、学歴や職歴と密接に関係し、それらを活かすことができること、それを証明できることが重要です。
具体的に、どういう学歴の外国人が、どういう業種で許可もしくは不許可になったのか、次回ブログでは事案を上げてご紹介していこうと思います。