前回は、現在一番一般的に使用されている就労の在留資格「技術・人文知識・国際業務」についてお話ししました。
今回は、新しい就労ビザ「特定技能」についてです。
就労ビザ②<特定技能>
工場のライン作業や、建設現場での労働などの業務が認められるのは、2019年に創設された在留資格「特定技能」です。国内の労働力不足の解消のために新設されました。
上述の「技術・人文知識・国際業務」が高度外国人材を対象としたホワイトカラー職種の在留資格であるのに対し、こちらの「特定技能」は現場で働く即戦力に当たります。
業種ごと12分野に分かれています。
特定技能12分野
(特定技能1号)
介護
ビルクリーニング
建設
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
造船・舶用工業
自動車整備
航空
宿泊
農業
漁業
飲食料品製造業
外食業
(特定技能2号)
建設
造船・船舶工業
※特定技能1号を満了し、更なる試験に受かれば、熟練技術者として「2号」を取得し無期雇用にすることができます。家族の帯同も可能になります。
現在はこの2分野のみの2号の設定ですが、今後はすべての分野に拡大する予定となっています。
技能試験と日本語試験
それぞれの分野の「技能試験」と、「日本語試験」の2種類のテストに合格しなければ、特定技能の在留資格を取得できません。
※技能実習を良好に終了した外国人は、関連分野の試験を免除されます
技能試験では、実際の業務に必要な知識をペーパーテストで測ります。多くの場合は、日本語(漢字にルビを打ってあるものが多い)で記載された問題を解きます。「介護」など一部分野では、技能試験も各国語で受験することが可能です。
日本語試験は、具体的には「日本語能力試験(JLPT」のN4レベル」、もしくは「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT)のA2レベル」以上の合格が必要になります。
JLPTのN4レベルとは…
基本的な日本語を理解することができる
【読む】
基本的な語彙や漢字を使って書かれた日常生活の中でも身近な話題の文章を、読んで理解することができる。
【聞く】
日常的な場面で、ややゆっくりと話される会話であれば、内容がほぼ理解できる。
とあります。
試験は年に2回のみ、毎年7月上旬・12月上旬に日本、海外で実施されます。
国際交流基金日本語基礎テストA2レベルとは…
ごく基本的な個人的情報や家族情報、買い物、近所、仕事など、直接的関係がある領域に関する、よく使われる文や表現が理解できる。
簡単で日常的な範囲なら、身近で日常の事柄についての情報交換に応ずることができる。
自分の背景や身の回りの状況や、直接的な必要性のある領域の事柄を簡単な言葉で説明できる。
引用: 令和元年度日本語試験実施状況報告書
試験実施回数も多く、日本、アジア各国で行われています。
日本では、全国で毎日のように開催されており、非常に受験しやすいテストになっています。
メリットとデメリット
このように、技能試験、日本語試験、共に合格してから、もしくは技能実習生として日本で既に数年働いた後からの雇用なので、最低限の業務知識と日本語力は兼ね備えた上で働いてもらうことができます。この点が企業側にはメリットになります。
雇用・労務管理に関しても技能実習ほどの特殊な手続きはなく、4か月に1度の面談・届出等は必要ですが、必ずしも技能実習の監理団体のような仲介業者を必要とせず、必要な部分のみ弊社のような事務所に外部委託して、原則として自社内で外国人雇用を行うことも可能となっています。
ただし、現行の制度では最大5年間までしか就労できないこと、家族帯同が認められていないことなどがデメリットとなっています。
特定技能の求人について
①技能実習生からの移行・・・試験免除対象になるか確認
②留学生からの採用・・・技能試験、日本語試験の両方の合格を確認
③転職者からの特定技能外国人・・・通算5年の就労期間の確認
①同じ分野、もしくは関連分野の技能実習を良好に終了していれば、試験免除で「技能実習」→「特定技能」に変更することが出来ます。
異なる分野に移行する場合は、日本語試験は免除されます。技能試験は受験し、合格しなければいけません。
現在はこの、元技能実習生が特定技能労働者の大半を占めています。
試験免除については、技能実習の職種や作業によって異なるため、詳しくはご相談ください。
ハローワークや求人サイトで募集する際には、特定技能試験のどの分野の合格者を求めているのかを明記しておく必要があります。
日本人の採用とは異なり、外国人雇用は業種により様々な制約を受けることがあります。
弊社では、技術・人文知識・国際業務、特定技能を含む、外国人労働者の在留資格、雇用、労務管理についての無料相談を受け付けています。
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