人手不足を背景に、在留資格「特定技能」に4つの分野の追加を検討中とのニュースが入ってきました。
追加を検討中の4分野とは、「自動車運送業」、「鉄道」、「林業」、「木材産業」。
特定技能1号は現在、飲食料品製造や建設など12分野です。
追加が実現すれば、2019年の制度創設以来初めてとなります。
ニュースによると、
「自動車運送業」では、バスやタクシー、トラックの運転手を想定。
「鉄道」では運転士や車掌、駅係員、車両製造など、
「林業」では育林など、
「木材産業」では木材加工など
の業務に携わることを検討しているようです。
自動車運送業では、「2024年問題」を背景に外国人ドライバーを求める声がかねてからあがっていました。
このほか、既にある「飲食料品製造」分野にスーパーでの総菜調理、産業機械など製造に繊維や印刷などの業務を追加することも考えられています。
現状では、飲食料品分野では、以下の製造が対象となっています。
(1)食料品製造業
(2)清涼飲料製造業
(3)茶・コーヒー製造業(清涼飲料を除く)
(4)製氷業
(5)菓子小売業(製造小売)
(6)パン小売業(製造小売)
(7)豆腐・かまぼこ等加工食品小売業
(1)は以下の業種の製造が対象
○畜産食料品製造業
○水産食料品製造業
○野菜缶詰・果実缶詰・農産保存食料品製造業
○調味料製造業
○糖類製造業
○精穀・製粉業
○パン・菓子製造業
○動植物油脂製造業
○その他の食料品製造業
(でんぷん、めん類、豆腐・油揚げ、あん類、冷凍調理食品、惣菜、すし・弁当・調理パン、レトルト食品等)
スーパーマーケットがバックヤードで惣菜などの飲食料品を製造・加工をする場合は、現在は、特定技能の対象外となっています。
また、百貨店やスーパー等に入っているテナント(小売業)も対象外です。
外食業のセントラルキッチン(店舗での調理に代わり、料理品及び原材料の製造・加工をしている集中調理施設)は、特定技能「飲食料品製造業」の対象です。
特定技能「外食」は対象外となります。
このように、特定技能では、就業できる分野、業種についてかなり細かく分類されています。
しかし、技能実習に比べると雇用企業の負担は少なくなる場合もあります。
現在の技能実習は改編が進む予定であり、特定技能への移行を見越した「育成就労制度」制度に変更になる見通しです。
現行では、「途上国へ日本の技術を伝える国際協力」との位置づけである技能実習制度ですが、実際の機能にあわせて「労働力」とみなされる制度に変更となります。
また特定技能制度も、改編が続いています。
昨年の改正では、すべての分野が「特定技能2号」の対象となりました。
1号と2号では、以下の違いがあります。
- 「特定技能1号」
・最大5年働くことが出来る
・配偶者や子を連れてくることはできない
・永住権の申請を目指せない(永住権の要件である在日年数にカウントされない)
- 2「特定技能2号」
・「特定技能1号」を経て、試験に合格すれば取得出来る
・熟練技術者とされる
・配偶者や子供を日本に呼ぶことが出来る
・在留期限の更新の上限がなく、無期限で在留することができる
・永住権も目指せる(永住権の要件である在日年数にカウントされる)
今までは、12分野のうち2分野にしか「特定技能2号」の設定自体がありませんでした。
そのため、特定技能で働く外国人にとって、「最大5年までしか働けない」、「配偶者や子供を日本に連れてくることができない」点が最大のデメリットでした。
この点が少し緩和された形になります。
弊所では、特定技能を含む外国人雇用、労務管理、在留資格に関する無料相談を受け付けています。
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参照:
農林水産省ホームページ「飲食料品製造業分野における外国人材の受入れ拡大について」