外国人雇用・就労ビザ

column

2023.09.11   外国人雇用・就労ビザ

「特定技能内製化」③特定技能外国人雇用の手続きについて

前項で、特定技能外国人の雇用の流れについて大まかにお話したので、今回は実際の手続きについて少し具体的にお話していきます。

 

企業が特定技能外国人を雇用する際には、通常の外国人雇用手続きに加え、特定技能特有の手続きや、雇用外国人への継続支援が必要となります。

 

 

特定技能1号外国人雇用の手順について

①外国人が技能試験と日本語能力試験に合格(技能実習2号を修了の場合は試験免除)

②雇用契約を締結

③支援計画の策定

④支援計画のうち入社前手続き「事前ガイダンス」と「健康診断」の実施

⑤在留資格(就労ビザ)の申請・変更

⑥入社手続き(社会保険加入等、通常の雇用手続き)

⑦外国人雇用状況の届出(雇用保険加入の場合は不要)

⑧外国在住の場合のみ、現地日本大使館でビザ発給手続き

⑨支援計画の実施(入国時の送迎、生活オリエンテーション、住居の確保、給与振込口座の開設補助等)

⑩分野別の各協議会への加入手続き

⑪就労開始

 

 

手続きの具体的内容

①日本語試験と技能試験

日本語試験(JLPTもしくはJFT-Basic)と、各分野ごとの技能試験、両方に合格しなければいけません。

合格する前に、内定を出しておくことも可能です。ただし、試験に合格しなければ、特定技能として在留資格申請は出せません。

 

技能実習を良好に終了した場合は、試験免除になります。

いずれにしても、一定程度の日本語力とスキルを持った即戦力人材が対象となっています。

詳しくは以前のブログをご覧ください。(特定技能内製化①特定技能について

 

 

 

②雇用契約書の締結

外国人の言語にあわせた指定書式で「雇用契約書」「雇用条件書」「賃金の支払」「徴収費用の説明書」等を説明し、必要なものは申請人の署名をもらいます。

雇用契約書や条件などは労働法に沿った形で締結する必要があります。

 

 

③支援計画の策定

以下10項目の支援を行う義務があります。必要なものの関しては、支援を受けた外国人の署名をもらわなくてはいけません。

 

1事前ガイダンスの実施(上記で既にお話したもの)

2出入国時の送迎

3住居の確保や、生活サポート(住居提供や銀行口座の開設同行、携帯電話の契約補助等)

4生活オリエンテーション(日本のルールやマナー、公共機関の利用方法や連絡先、災害時の対応の説明)

5公的手続きの同行(市役所へ住民票を届け出る等)

6日本語学習の機会の提供

7相談・苦情への対応

8日本人との交流促進

9転職支援

10定期面談、行政機関への通報

 

これらの支援について、申請人本人の署名が必要なものについては、日本語版以外に英語、ベトナム語、タガログ語、インドネシア語、タイ語、ミャンマー語、カンボジア語、モンゴル語、ネパール語、中国語の10か国語の様式が設定されていて、外国人の言語にあわせて使用することができます。

 

※支援計画について詳しくはこちら「支援計画と登録支援機関について

 

 

出入国在留管理庁ホームページにて、必要書類の様式、10か国語の様式をダウンロードすることが出来ます。

 

リンク:出入国在留管理庁ホームページ「在留資格特定技能に関する参考様式(新様式)」

 

 

④「事前ガイダンス」

在留資格認定証明書(変更申請)の申請前に、外国人に以下の情報を伝えなければいけません。

 

<義務事項>

・雇用契約(業務内容、報酬、労働条件)

・日本でできる活動(法で定められた特定技能の業務区分に従事すること)

・日本入国の手続き(在留資格認定証明書COEを受領後、本人が在外日本大使館にてビザ申請を行うこと、COE交付から3か月以内に日本に入国しなければいけないこと等)

・特定技能制度、規定の説明(保証金の有無、支援費用は外国人が負担しない等)

・特定技能所属機関等の支援担当者の氏名、連絡先

 

上記について、本人が十分理解のできる言語で、対面、テレビ電話、オンラインのビデオ通話の方法で、直接説明をしなければいけません。

 

以下の任意事項は義務ではなく、できれば情報提供が望ましいとされています。

<任意事項>

・ 入国時の日本の気候、服装

・ 本国から持参すべき物、持参した方がよい物、持参してはならない物

・ 入国後、当面必要となる金額及びその用途

・ 特定技能所属機関等から支給される物(作業着等)

 

これらの事前ガイダンスを行い、指定様式「事前ガイダンスの確認書(参考様式第5-9号)」に説明を行った日時、説明者の氏名、外国人の署名を記入し、提出します。

 

 

 

④「健康診断の実施」

指定の様式「健康診断個人票」があります。

記載の検査項目の健康診断を行い、医師が検査結果を記入し、安定的かつ継続的に就労活動を行うことができるという署名をする必要があります。

日本に既に滞在している外国人の場合は、入社1年以内に日本の病院で、海外にいる外国人の場合は入社3か月以内に母国の病院で、それぞれ診断を受けます。

 

 

⑤在留資格の申請もしくは変更申請

上記ガイダンス、説明を終えてから、支援計画書を添えて入国管理局に在留資格の申請を行います。

海外にいる外国人の場合は、「在留資格認定許可申請」となり、申請を上げて結果がでるまで平均約78日かかります。

既に日本にいる外国人(留学生など)の場合は、「在留資格変更申請」で平均約57日かかります。

 

支援計画書以外にも添付書類は多く、以下が必要になります。

<会社に関する資料>

・特定技能所属機関概要書

・登記事項証明書

・役員の住民票の写し

・特定技能所属機関の役員に関する誓約書

・労働保険料納入証明書、又は労働保険料納入通知書の写し2年分

・社会保険料納入状況回答票や健康保険。厚生年金保険料領収書の写し24か月分

・税務署発行の納税証明書その(3)

・市町村発行の法人住民税納税証明書、1年分または2年分

 

 

<申請人に関する資料>

・証明写真(4×3㎝)

・在留資格認定証明書交付申請書または変更申請書

・特定技能外国人の報酬に関する説明書

・特定技能雇用契約書の写し

・雇用条件書の写し

・賃金の支払い

・雇用の経緯に関する説明書

・徴収費用の説明書

・健康診断個人票

・受診者の申告書

・1号特定技能外国人支援計画書

・登録支援機関との支援委託契約に関する説明書(必要な場合のみ)

・二国間取り決めにおいて定められた遵守すべき手続きに係る書類

 

※その他、分野ごとに、また申請人や会社ごとに必要書類は変わります。

詳しくはご相談ください。

 

 

 

⑥入社手続き

これについては、日本人の雇用と同様に社会保険の加入手続き等を行います。

弊所は社労士事務所なので、手続きを委託いただくことが可能です。

 

雇用保険加入の手続きの際に、該当欄に外国人の情報を記入することによって、ハローワークへ届出が義務付けられている「外国人雇用状況の届出の提出」は別途届出の必要がなくなります。

 

 

⑦外国人雇用状況の届出の提出

雇用保険に加入しない場合は、ハローワークへの届出を行わなくてはいけません。

こちらも弊所で行うことが可能です。

 

 

⑧外国在住の場合のみ、現地日本大使館でビザ発給手続き

外国人本人が行います。

出入国在留管理局から受け取った、在留資格認定証明書(COE)を外国人に送付し、本人が日本大使館に持参してビザ発給を申請します。

ビザは中長期滞在に必要となる在留資格とは異なり、日本入国の際に必要な認証となります。

 

 

⑨支援計画の実施

入国時の送迎、生活オリエンテーション、住居の確保、給与振込口座の開設補助等、策定した支援計画に沿って適切に実施します。

入国時には必ず空港から会社、もしくは自宅への送迎が必要です。

また、住居の確保(社宅の賃料など細かい規定もあります)や、銀行口座の開設、携帯電話やライフラインの契約を案内、手続きの補助を行い、外国人が日本での生活に困らないよう支援を行います。

必要に応じて、役所に付き添って社会保障、税金の手続き、書類作成補助などを行います。

 

※支援計画について詳しくは、こちらをご覧ください。「支援計画と登録支援機関について

 

 

⑩就労開始

 

 

就労開始後も、継続して行う必要のある支援計画が多くあります。次項で追って説明します。

 

 

また、在留期限は「4か月」「6か月」「1年」のいずれかになりますが、それぞれの期限の満了前には、出入国在留管理局での在留資格更新申請が必要となります。

 

期限の3か月前から、更新申請が可能になります。必要書類も多くあり、申請を出してから許可が出るまで時間もかかることが多いため、期限の4か月前には更新の準備にかかることが望まれます。

 

このように、特定技能外国人の雇用には様々な手続きが求められます。
初回相談は無料ですので、お気軽にご相談ください。

 

次回は雇用外国人への「継続的な支援」について具体的に見ていきます。

ページトップへ矢印
%d人のブロガーが「いいね」をつけました。